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SIN(19) - Saint Pierre (2)

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シンガポール唯一の Relais & Châteaux 加盟店、Saint Pierre でディナーをいただいております。

5時半に食べに来るなんて僕くらい。Early Bird のディナー食いに来るヨイヨイのじいさんになった気分。w

で、さっそくアミューズが届きました。

Amuse bouche: Salmon mousse
サーモンのムース、と説明を受けましたが、なんだかふろふき大根みたいなものの上に載っています...。

最初のお皿でインパクトを与える。というのも凄いと思いますが... 見よ、このプレゼンを。

豆のつるとかエディブルフラワーとかで、凄いでしょ?
スモークサーモンのムースも凄くなめらかで、キレのいいシャンパーニュとすごくいい相性。

ここでいきなり予想外の展開。グラン・シェフのエマヌエルさんが挨拶に出てきちゃいました!

「昨日は開店早々混雑してたんだけど、今日はそんなに混まないようだから、ゆっくりしていってくださいね」と、気さくにご挨拶してくださいました。エマヌエル・シェフはベルギー出身だけど、他のスタッフはほぼフランス人だそうです。Maître D'のデービッドさんもフランス人だからワインに詳しい。僕の席を面倒みてくれたデスモンド君だけ中華系らしいけどこのレストラングループで11年の経験だそうですし、奥さんがフィリピン系だそうで、英語のアクセントがなくてコミュニケーションは無問題。結局エマヌエル・シェフとずいぶん雑談しちゃって、エマヌエルさんは「あ、次の皿用意しますから、これで一旦。(汗)」ってあわてて厨房へ帰りました。

・・・で、次の皿。ここからコースが始まるわけです。

Momotaro tomato, Watermelon, Soy, Yuzu
デスモンドくんが「日本の桃太郎トマト、美味しいですよね♪」とか、もう詳しすぎ。(笑)

聞けば、エマヌエル・シェフは日本の食材を適度に取り入れるのが気に入っているそうです。

でも使いすぎていないのが、実に上手。日本や中華の食材に出逢うと多用するシェフも多いけど、エマヌエルさんはバランスよくというか、和食材を取り入れてあるのが多分日本人以外には判らない程度にしか使ってない。

このトマトとスイカに醤油を吸わせたカリカリ、さらにかすかに山椒のヒントもありました。凄い凝ってる。

ここらへんでもうフルートグラスがカラッポ...。しかし、この後に何が出てくるかは謎のままです。その気になれば目の前に伏せてあるリストで確認できるけど、デスモンドくんに「見ないほうが感動できるでしょ?w」って言われているので、こうなったら意地でも見ません。(笑) そしたら、何がやってきても相性のよさそうな万能選手でいくことにしました。

Perrier Jouët Brut Blason Rosé NV  Champagne, France
ロゼのシャンパーニュなら、たぶんシーフードやおさかなが続くであろう今後に間違いなく対応できます。ソムリエをやってくれているデビッドさんにも良い選択だと言われましたが、グラス売りでペリエ・ジュエのブラゾン・ロゼを置いてある店って、ちょっと凄いと思います。

あ。このロゼで正解。さっきまでシャルドネ過半数な味わいだったのが、今度はピノ・ノワールばっかし。

なんか当たりのワイン選べてホクホク気分になっているところへ、最初のシーフードのお皿がキマした。

Prawn tartare, Caviar, Bisque ice-cream
左側がチョップした海老のタルタルで、右側は蝦のビスクをアイスクリーム仕立てにしてあります。
(誤変換していない限り、僕は基本的にShrimpを海老、Langostiniを蝦と表記するようにしています)


こっち側が海老のタルタル。チョップしたエビがネトネトして独特の食感で、後から甘海老みたいな生の風味が追いかけてきます。さらにそのてっぺんには塩気を補う程度に上等なキャビア。はいいろたまごw なので上質なものを使っていると判断し、後でざっくばらんに伺ったら、オセトラだそうです。

そして、その右側のアイスクリームにはシビレました。これは今回のコースのなかでも感動ものの逸品。

こっちのエビはオマールとかラゴスティーノ方面の、出汁のよく出る蝦のはずです。ちょうどロブスタービスク同様なものを作り上げてから、それをわざわざアイスクリームに仕立て上げるという手の込み具合に感動しました。口に含むとヒンヤリとしたクリーミィさがすぐ来て、その後に口中で温まると... ものすごく濃厚な蝦ビスクの風味が拡がります。「む... むむぉ~っ!」っと、声にならない声を挙げて激しく感動してしまいました。

もし、エマヌエル・シェフがまた出てきてくれたら、ルレ&シャトーに加盟してくれてありがとう!って言おう。
・・・そう決心しました。なにしろルレに加盟してくれなかったら、この店を見つけられませんでしたから。


ロゼもいい調子でクピクピいっちゃって... 窓外はだんだん日が傾いてきたようだけど、ちょっと曇りぎみ。右手のほうはスコールが来そうなまっくろけな雲が浮かんでいたけれど、幸いにも雨にはたたられませんでした。デスモンドくん「晴れているとサンセットがきれいなんですけどねぇ」と、ちょっぴり残念そうでしたが、この赤道直下の島で雨に全く降られないだけでもよしとします。

シーフード、もひとつ登場。

Lobster, Pasnip pureé, Vanilla
ロブスターさまです。蕪のピューレにバニラ風味の泡が載っています。


これには、もう素直にうっとり。いちばん軟らかいツメ肉の部分だけという贅沢だし、バニラの風味が判るけど出しゃばらないという絶妙なあたりに抑えてあるのが素晴らしい。当然ながらロゼの泡との相性も最高でした。

こんどはカリフォルニアではご禁制の、フォアグラ。

Foie gras terrine, poached chicken, iced grape
フォアグラのテリーヌで海南チキンみたいな仕上げの鶏肉を巻いてます...。周りには凍らせて皮をはいだ葡萄。

あれ?たしかグラス売りのワインのリストに、スイートワインも2種類くらいあったよな?と、思ってソムリエしてくれているデビッドさんに相談したら、こっちがいいでしょう。と紹介してくれたのが、これです。

2011 Elderton Botrytis Semillon Barossa Valley, Australia
白ボルドーと同じセミヨン種だけど、オーストラリア産のスイートワインでした。

これ... ヒントがわずかにソーテルヌみたいだけど、もっとキャラクタがきっつい。ソーテルヌよりもっと甘くてもっと酸っぱくて、風味も全体に強い。フォアグラのテリーヌより外側カリカリに仕上げたフォアグラ・ソテーのほうにピッタリだろうけど、個人的には激しく気に入りました。これ紹介してくれてありがとう!ってデビッドさんへ伝えたら「でしょ?性格がしっかりしてるんですよ」って、同意を得ました。


かなりたんまりと注がれたオーストラリアの性格きっついソーテルヌ(笑)をチビチビしながら、いただきます...

でわ、この続きはまた明日。


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